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小さな作り話 歴史の勉強

 「歴史の勉強嫌だなぁ」

宿題中のユキがつぶやきました。
小さなつぶやきでしたが隣にいた父親に聞こえたようです。
「歴史は素晴らしいぞ。人生が豊かになる」
父親はそういうと部屋から出て何やら小包を持ってきました。
「さて、徳川初代将軍は誰だ?」
ちょうど宿題でやっていたところですし、それくらいは家康だと知ってます。
「では二代将軍は?」
二代目?二代目は授業では習わなかったなぁ」
「二代目は秀忠。三代目は家光。じゃぁ四代目は?」
四代目も習ってないよ。
「四代目は家綱。三代目までに築いた幕府の地盤がより強固になった時代のトップだ」
ふーん。でもテストに出ないのなら覚えても仕方ないなぁ。
父親は小包を広げました。中はお菓子でした。なんどか食べたことのあるお菓子です。
「名前は知っているか?このお菓子は金糸糖という。江戸時代からずっと製法を変えていないらしい。材料は卵と砂糖で当時では高級品。庶民にはとても手が出ないお菓子で貴族やお殿様が楽しんでいたらしい」
そう聞くとただのお菓子もなんだか美味しそうに見えてきた。
「当時の将軍にも献上され、大変喜ばれたとのことだ。将軍というと日本でもっとも権力を持った人物だ」
その将軍って・・・
「四代目将軍家綱だ。いまから400年前にその家綱が食べたお菓子と全く同じものがここにある。さてもう3時だ。おやつの時間にしようか」
食べなれたお菓子が江戸とお菓子の歴史を聞いたせいか輝いて見えます。
ユキはさっそくお茶を入れに行きました。
94/100の小さな作り話



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