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小さな作り話 問題の時間

 問題の時間

ある寺の垣根に小さな木が生えていました。少しずつ木は成長していきます。
和尚さんは起きてから朝日を見るのが日課でした。しかし最近小さな木に生い茂る葉が邪魔で朝日がよく見えません。
和尚さんは寺の小僧に言いました。
「これ小僧や。垣根の小さな木を切っておくように」
「かしこまりました。和尚様」
小僧は元気よく返事をしました。しかし小僧は仕事をサボって中々木を切りません。
何日かたって、和尚さんは小僧をせかします。
「これ小僧や。いつになったら木を切るのだ」
「申し訳ありません、和尚様。すぐに切りますので」
さらに数週間が経ちました。
和尚様は小僧を叱ります。
「これ小僧や、いい加減に木を切りなさい」
「しかし和尚様、師走に入り和尚様に言いつけられた仕事が山積みです。仕事がひと段落すればきっと木を切りますので、どうかお待ちください」
数年がたちました。木はすっかり大きくなり、生い茂る葉もずいぶんと高い位置になりました。もう朝日をさえぎることもおりません。
和尚さんもそこに木があるのが当たり前になってしまって木を切りなさいとは言わなくなりました。
115/122の小さな作り話



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