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小さな作り話 魔法の鉛筆

フォークアート「トランプの兵隊 ハート兵」作りました。




小さな作り話 魔法の鉛筆

中学生のサチは父親にちびた鉛筆をもらいました。机を掃除していたら出てきたそうです。「これは魔法の鉛筆で、願い事を書くとそれが叶うんだよ」
と教えてくれました。嘘だぁ、願い事は何でもいいの?。お父さんはなんて願い事をしたの?それは叶ったの?サチはたくさん質問しました。
「うーん、そうだなぁ。叶ったと言えば叶ったかな。君も本当に大事なお願いを書いてみるといいよ」

はぐらかす様な父の返答を本気にしたわけではありませんでしたが、サチはなにを書こうかと考えました。サチは最近は学校の勉強がつらくて仕方がありませんでした。志望高校のために一生懸命勉強していましたが、勉強せずに入試に合格出来たらどんなに楽だろうと思いました。魔法の鉛筆で机の端っこに小さく
「志望校合格」と書きました。

これで勉強しなくても試験に合格するのかなぁ。まぁそんなにうまくいかないだろうけど。でももし本当に願い事がかなったらすごいな。でも勉強しなくても合格するってどういうことだろう。試験を白紙で提出しても合格点になるってこと?定員割れしちゃって受ければ誰でも合格するならありえるけど人気校だからありえないよ。それに勉強しないままもし合格してもきっと高校の授業についていけない。もし勉強しないまま入試を受けて当たり前みたいに落ちたらきっと一生後悔する。魔法の鉛筆で書いたから大丈夫だと思いましたなんて笑い話にもならないよ。

サチは今まで通り勉強をつづけました。勉強の辛さは変わりませんでしたがそんな時は机の端の落書きを見ると少し気持ちが軽くなるような気がします。

20年後。
サチが机を掃除しているとちびた鉛筆が出てきました。サチはそれを娘にあげました。娘に色々聞かれてサチは答えました。
「うーん、そうだねぇ。叶ったと言えば叶ったかな。君も本当に大事なお願いを書いてみるといいよ」

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