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「マジックを見てもらっていいですか」 「あ、すいません、私は目が見えないので・・・」 「大丈夫ですよ」 から始まるマジック。

「マジックを見てもらっていいですか」
「あ、すいません、私は目が見えないので・・・」
「大丈夫ですよ」
から始まるマジック。
愛媛県松山市「サイクルチャレンジ2018in競輪場」でマジックを演じてきました。このイベントは松山市内在住の身体障害者手帳・療育手帳所持者の方々を対象としたイベントで、様々な障害を持った方が参加されていました。
こちらのイベントでマジックを依頼されたときに「視覚障害者の方も来る」と聞きました。マジシャンになろうと決めた時に、いつか目が見えない人にマジックを見てもらいたいと思っていたので是非お願いしますと返事しました。
目が見えない人にどんなマジックをすればいいのか。初めは視覚に頼らない言葉のマジックや音を使ったマジックなら楽しんでもらえるのでは、と考えました。でもすぐに思いなおしました。僕が目指しているマジックは心が響くマジックだったはずで、だったら目が見えなくても耳が聞こえなくても楽しめるはずです。目が見えない人用のその日限りの代替品の様なマジックじゃなくて、僕のマジックを見てほしいと思いました。
視覚特別支援学校を訪ねて僕の考えやマジックについて教員の方に相談すると「このマジックなら全盲の方でも絶対に喜んでくれます」と言っていただけました。
当日はいつもの自分でいようと思いましたが、不安で仕方がなかったです。マジックを見てもらいたいという気持ちはいつも通りでしたが、「よくわからなかった」「見えないからわからない」と言われたらどうしようかと。
イベントが始まり視覚障害者の方に声をかけました。
「マジックを見てもらっていいですか」
「あ、すいません、私は目が見えないので・・・」
「大丈夫ですよ」
大丈夫、というのは自分に言い聞かせていたかも。お客さんの反応はいつも通りでした。不思議がってくれて驚いてくれて、最後は喜んでくれて。マジックが終わった後はいつも通り
「ありがとうございました」
と挨拶をしました。
いつもと違ったのは、僕はその後すぐに人がいない場所にかけこんで泣いてしまったことです。嬉しくて嬉しくて。
イベント終了後、主催者の方に電話があったそうです。
「私にはマジックって無縁なものだと思っていたんです。フォークでできたハートをもらったんです。みんなに見せてます」
マジックって素晴らしい!
※写真掲載許可取得済